心地とインターフェースFeel and Interface
#001

なぜそれをつくるのか

私は東京のデザイン・イノベーション・ファームで、デジタルプロダクトデザイナーとして活動しています。主な仕事は、ウェブサイトやアプリケーションにおけるユーザー体験とそのインターフェースをデザインすることです。ただ、私がデザインの対象として捉えているものは、画面の中だけに限りません。

ときには、デジタルとフィジカルを行き来しながら、ロボットと人がともに暮らすための椅子のような、実体のある製品やサービスに関わることもあります。画面であっても、家具であっても、サービスであっても、人ともの、人とこととの関係をつくるという意味では、どれも広義の「インターフェース」のデザインだというふうに考えています。

過去にエモーショナルUIデザインの記事でも書いたように、私が関心を持っているのは、機能や使いやすさだけではありません。そのプロダクトやサービスを、どのような態度で世の中に存在させることで最もピュアな価値を発揮できるのか。人とどのような距離感で関わり、どのような関係性を育んでいくものなのか。どんな佇まいや振るまいであれば、人が心地よくいられるのか。目に見えるものを作ることと同じくらい、そうした問いを大切にしています。

生成AIによって、デジタルプロダクトをつくることは、これまで以上に簡単で速くなっていくでしょう。だからこそ、どうつくるのかだけでなく、なぜそれをつくるのかという原点を、あらためて見つめ直すことが、人間にとってますます重要な仕事になるのではと感じています。

私はAIが好きです。仕事や暮らしを便利にする道具としてだけでなく、思考を広げる手伝いをしてもらったり、おしゃべりすることで、ときには身近な友だちのように感じたりすることにも面白さを覚えます。同時に、AIをはじめとするテクノロジーと、私たちはどのような距離で付き合えば健全なのか。便利さと引き換えに、何かを手放してはいないか。人とテクノロジーの関係そのものを、ときに一歩引いた目線で、どのようにデザインできるのかについても考えていきたいと思います。

まだ、はっきりとした答えはありません。この「心地とインターフェース」を、身のまわりのプロダクトやサービス、暮らしや仕事の中で感じた違和感や発見を手がかりに、こうした問いを継続して考えていくための拠点のような場所にしていきたいと思います。


kana